アカペラ教室06

ハモるといえば当然音程を重視しますよね?
でも、いくら正確な音程を取っていてもイマイチきれいに聞こえないこともしばしばです。

音程は完璧に覚えた!コード感もしっかり頭に入っている!
それなのになんか上手くハモれない……
きれいじゃない……
カッコ良くない。。。

初めから声質がハモリやすいメンバーを集められればいいですが、それは結構難しいことですよね。
“音程の良い人”や”譜面が読める人”という条件で集めた場合でも、歌ってみたら思うほど上手くハモれないことにがっかりすることもあるでしょう。
音感がいくら良くても、それを声(歌)で表現する能力は別物です。
ただハモるだけなら簡単でも、歌の中でより複雑な表現をしながらハモらせるには音程だけでは足りません。

では、音程以外にどんなことを注意すればいいのでしょう。



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上手くハモるためのコツ

メロディーベル

複数人で声を重ねた時、そこに新しい声が生まれます。メンバーが一人でも変われば、また別の声になります。「私たちの声」を見つけなくてはなりません。
一つの和音を「あ~~」とハモらせるだけなら繰り返し練習するだけでそこそこ上手くハモるようになるでしょう。ですが、アカペラでは曲毎、フレーズ毎、さまざまな音をさまざまな目的でハモらせなくてはなりませんから、音程だけが正しくても、その他の要素がバラバラだときれいにハモることができません。

どの音(音程)で、誰と、どこを、どんな目的、どんな表情でハモるのか
それをしっかりと理解して、その都度チューニングする必要があります。

音程以外のハモリ

呼吸でハモる

息を合わせる”という慣用句がありますが、まさしく呼吸が合っているかどうかがハーモニーでは重要になります。
具体的には次のようなことを意識して呼吸を合わせます。

  • ブレスのタイミングや速度
  • 声の立ち上がり(起音)
  • 息の流れ方(動き)

まっすぐに伸びる声を出す人とフラフラしながら出す人ではやはり接点が少なくなり上手くハモれません。
声の原型、骨格である呼吸を合わせることが肝心です。

倍音の少ない声(響きの乏しい声)をいくら重ねても、やはりきれいにハモれません。一人ひとりがしっかりと響かせられるように、まずは発声から見直さなくてはならないでしょう。

全員がトレーニングを積んでいて、すでに発声ができているメンバーなら、お互いの声をよく聞き、さらに呼吸を感じ取る練習をしてください。単純な”強弱”などの緩急を合わせるだけでもまとまりやすくなります。

慣れてきたら、次に”息の速度”を感じ取りましょう。異なる音程を取っているので、同じ速度ではありません。それでも、同じような音の動きをしているのなら、おおよその動きは一致しているはずです。
ある人は加速していて、ある人は減衰していて、またある人は全く呼吸の流れが感じられていない。
そのような場合、声はバラバラに聞こえてしまいます。

リズムでハモる

同じ符割のメロディーをハモる場合でも、音の長短などリズムを合わせるのが先決です。
いくら音程が合っていてもリズムが合わなければハーモニーはかなり崩れてしまいます。

我々PURE VOXの場合は大半が異なるリズムで歌っているので、さらに互いのリズムを理解して、複数が組み合わさって浮かび上がる新たなリズムを理解しなくてはなりません。
恥ずかしながら、まだまだこれが上手くありません(^^; バラバラで動くことが多く接点が少ないため、音程も維持しにくく、ハモっている感覚が弱くなります。つい他のパートを無視してしまう傾向にあるので、常に他の音の動きを理解しながら歌うというのが目下の目標です。

私たちのように単独で動くことが多ければ、必ず全体のリズムを把握しながら、その一部分を歌っているのだという自覚をすることが大事になります。「あの人のあのリズムと私のこのリズムが重なって、全体としてはこんなリズムに聞こえる」と理解して歌うということです。

ただ一般的には、同じリズムで一緒に歌うことの方が多いでしょう。その場合でも、音程よりもリズムを優先して合わせましょう。
休符を含めて一つのリズムです。声を出さないからといって休符を適当にするとリズムの骨格が失われてしまいます。

音相でハモる

「あ~」などの単純な音でハモる場合も同じ音相であるか確認しましょう。 

“お”に近いこもった“あ”の人、“え”に近い明るすぎる“あ”の人、など同じ音を鳴らしているつもりでも、実はかなり個人差(癖)があります。あらためて口の開け方を見比べてください。もし極端に異なる口のかたちをしていたら、音も相当違うと思います。

音ではいまいちよく分からないのなら、せめて目で見て判断できるところから修正してみましょう。
口を開けるタイミングや口角の位置がみんなバラバラだったりしていないか。
こんなシンプルなところをまずは見直してみるのです。その上で、「ここはもっと明るめの音でいこう!」とか「もう少し柔らかい音の方がいいんじゃない?」 なんて相談しながらチューニングしていきます。

表情でハモる

平行ハーモニーであっても各パートの役割は少々異なります。
全体で表情を合わせる必要があるときもあれば、各パートで役割が異なるときもあります。

「高音部パートは明るさを、中音部はコードの個性を、低音部では全体の厚みを出したい」ということもあれば、「ここのハーモニーは穏やかな表情にしたいから、全体的に重さや暗さを押さえていこう」などということがあるでしょう。
ただ音程の変化を辿っていくだけでは意図する表情は現れません。
声はいつだって1音しか出せませんが、「全体の中の一部」であることを忘れないように!

パズルのピース

アカペラでは、同時にみんながバラバラの音を出しています。動きだって常に一緒ではありません。それでも「一つの音楽」として聞こえるのは、そこに秩序があるからです。たとえ別々のことをしていても、それらが合わさって全体がどうなるのかを知っているからです。自分一人だけのライン(音程)を完璧に覚えたとしても。全体が見えなければ、むしろ秩序を壊す側になりかねません。

音程を外していいわけではないですが、音程だけでは”音楽”にはならないことを覚えておきましょう。

歌うラインによって出しやすい表情は違います。声は楽器ほど安定した響きではないので思い通りの音が必ず出せるわけではありません。でも人間の声でしか見せられない表情があります。それこそがボーカルの、またアカペラの魅力なのです。

アカペラでのボイシング

ボイシングとは、和音をつくる際の音の置き方のことです。
Cメジャーの構成音は「CEG(ドミソ)」ですが、転回して「ミソド」や「ソドミ」とすることもできます。 ピアノでもボイシングを変えれば表情が変わるので聞き比べてみましょう。1つのコードでもそうですが、コード進行もボイシング次第で変化します。それは当然アカペラ(声)でも同じことが言えます。

構成音の配置

ピアノを弾く手

「オープン」と「クローズ」

ボイシングにはオープン・ボイシングクローズ・ボイシングがあります。

楽器によって多少捉え方が異なりますが、簡単には構成音がギュッと集まっているものものがクローズ、構成音の一部をオクターブ上げたり下げたりして広くなったものがオープンです。

アカペラでは、サウンドの良し悪しで選ぶことよりも、音の取りやすさや動きやすさを優先したボイシングが多いと思います。
一人の人があっちこっち高低を移動するのは難しいですからね。比較的近い音を移動できるように工夫することでしょう。
また、他者の音の干渉を受けやすいので、テンション系の音などはとても取りにくいため、あまり干渉されないように音程を離すこともあると思います。

例えば、”Csus4″というコードを取る場合、通常は「ド・ファ・ソ」ですが、”ファ”と”ソ”は全音なので濁りが強く、不慣れな人は取りにくくなります。そこで、「ソ・ド・ファ」のオープンボイシングにして干渉を和らげるということをします。

サウンドでボイシングを選ぶ

楽器の場合でも、スムーズなコード進行をさせるためや運指(指の運び)を考慮して音の置き方を選ぶこともあります。
アカペラでのボイシングもこれと似ていますね。各パートのメロディアスさを優先した結果、勝手にボイシングされていくことがほとんどでしょう。でも、時にはサウンドを鑑みてボイシングすることも必要です。

オープンやクローズの選び方はセンスが問われるところです。
厚みを出したい、低音部を強調したい、広がりを出したいなど、どのようなサウンドにしたいか目的に応じて選択します。

取りやすい音を優先し過ぎて、全体の表情を壊していないか。
適切なボイシングができていないことで、楽曲本来のサウンドから遠ざかっていないか。

ピアノと違って、アカペラでは一人のメロディーラインにも何かしらの表情が現われてしまうので、適当に音を振り分ける訳にはいきません。単独のライン、コードとしてのサウンド、その両方を活かせるボイシングにしたいものです。

アカペラでのボイシング

アカペラでは、各パートで使用する音域が限られているので、すべてをクローズ・ボイシングにすることはまずありません。

また、構成音的にはクローズでも、声質によっては事実上オープン・ボイシングになっていることも多々あります。とくに混声の場合は、意図せずクローズとオープンが混在することになります。声の場合は、単に「ド・ミ・ソ」にするか「ソ・ド・ミ」にするかというだけでなく、どんな声質の人が鳴らすかで聞こえ方がオープンにもクローズにもなるということです。

ですから、アカペラに関しては、とにかく声にして確認するしかありません。

それも一つのコードだけでなく、コード進行上の動きやその時のサウンドも入念に吟味しなくてはなりません。
とくにベースがいない場合、一番低い声の人が常にルートを出しているとは限りません。
厚みが出せないだけでなく、コードの流れが分かりづらくなるのでより難易度は上がります。個人の音程だけでなく、複数人で作っているコードサウンド、曲としてのコード進行を理解して練習しましょう。

上手くハモるためのまとめ

スコア

音程は大事!
でも音程だけでは十分にハモることはできない。

●「呼吸」「リズム」「音相」「表情」など、音程外にも目を向け、より多くの接点をつくる。

●また、アレンジの際は「ボイシング」にも注意し、必ず声にして確認する。理論上、譜面上だけで音を割り振っても、美しいハーモニー、表情あるサウンドにはならない。

●たとえ全員がバラバラの音を歌っていても、同じ曲を共に作り歌っているということを自覚し、常に俯瞰的に自分たちの歌を聞きながら歌えるようにすることが大切!

一つの音は、大きなパズルの一つのピースに過ぎません。でも、そのピーズが集まって一枚の大きな画になります。
必要のないピースなんて一つとしてないのです。自分の出した1音が、全体のどこであり、どんな役割を担っているかを知ることで、完成した大きな画はより鮮やかで美しいものになります。



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